厚生労働省が発表した「長期的看護職員受給見通しの推計」によると、看護師の数は年々増加していることがわかります。
しかし、高齢化などを背景とした医療需要の増加から、医療現場は慢性的な人手不足に悩まされているのが現状です。特に若年者層の減少や流出が加速している地方では深刻な事態になりつつあるといわれています。こうした需給ギャップがますます深刻になってくると、1人1人の看護師にかかる負担が増加し、ただでさえ厳しいといわれる労働環境がさらに悪化しかねません。
看護師不足の問題は、国、医療機関、看護師といった医療関係者が一体となって取り組むべき問題です。これから看護師を目指す人は、こうした問題についても目を向けておくことが大切です。
看護師不足は高齢化の影響による需給ギャップだけでは説明がつきません。そこには、看護師の離職率の高さといった問題もひそんでいます。
労働環境の厳しさや給与への不満、結婚や出産による生活環境の変化など、看護師が離職に踏み切る理由はさまざまです。
こうした問題の中には看護師自身ではどうにもならないことも少なくないことでしょう。ただ、その一方で、看護師のキャリア形成に対する認識の甘さを指摘する声もあがっています。というのも、他産業の在職年数はおよそ10年といわれていますが、看護師の在職年数は平均すると5年程度にとどまっているからです。
看護師不足の現状がいつまでも続くとは限りません。
将来的にはAIによる診療や需給ギャップの解消により、看護師不足は改善されるとの見方もあります。そうした局面を迎えることも考え、自身のキャリアは長期的な視点から考えるようにしましょう。