看護師の人手不足は、いくつかの要因が重なって増大しています。もともと看護現場は、勤務形態に夜勤があり不規則で、業務量の負荷やストレスがかかりやすい職場です。少子高齢化の影響もあり、業務が一層増大したといわれています。
実際、出産・子育て等のライフイベントがきっかけで、看護師を離職する人も少なくありません。子育て後に復職したいと思っていても、医療の知識や技術は常にアップデートされるため、復職することが難しい現状もあります。
そんな現状を改善し、看護職員の確保をするべく、厚生労働省は「看護職員確保対策」に取り組んでいます。「看護職員確保対策」では、看護師の養成促進や復職支援、離職防止に向けた対策を掲げています。具体的には、看護学以外で大学卒業をした社会人経験者に看護資格取得を促したり、看護師になれる教育訓練給付制度を設けて資格に挑戦できる環境を提供したりしています。
たとえば、復職支援の面では、看護師の免許を持ちつつも看護業務に就いていない潜在看護師に、連絡先の届け出を要請する看護師免許保持者の届け出制度があります。この連絡網を使い、相談員がアドバイスをして潜在看護師の復職支援を強化する土台を作ろうとしています。実際、看護師のネットワークの強化および復職者の増加が見込める策だといえるでしょう。ただ、潜在看護師のデータは苗字が変わったり、当人が引っ越したりとリアルタイムで変化するものです。そのため、都度積極的に呼びかけて、国全体で潜在看護師の連絡先の登録を促しています。
そして離職防止や定着促進の面では、医療現場の職場の環境の整備に力を入れています。医療従事者の勤務環境の改善は、看護師の人手不足問題に直結する問題でもあります。その改善策として、医療分野へのIT化や医療ロボットの導入を推進しています。ITやロボットの力で業務効率が上がれば、より一人ひとりが働きやすい環境に近づいていくでしょう。